らなる堂

音楽

No.1 スガシカオ "4 Flusher"

14歳の時にわたくしは彼の音楽に触れ、恐ろしいまでの影響を受けました。自分語りはまた今度したいと思います。

スガシカオ先生の "4 Flusher"です。前作は"Sweet"、次作は"Sugarless"です(オリジナルアルバムとしては"SMILE"があたります)。前作では森俊之先生のシンセ/キーボードによる壮大なサウンドながらスガ先生の濃いファンクネスが詰まった作品です。次作は打ち込みドラムを多用し、スガ先生のギター/ベースが主体となったクールな作品になります。

"4 Flusher"は"Sweet"よりの、どちらかといえばシンセのサウンドが目立ちます。曲を見てみましょう。

1~3曲目はまさしく前作を引き継いだ、スガ先生の乾いたエロティシズムが魅力です。「性的敗北」なんて直球です。親に聞かせられません。この「かわりになってよ」~「性的敗北」は男の情けなさやらズルさがモロに現れています。「かわりになってよ」はアコギのカッティングが印象的ですね。この辺はスガ先生の得意分野です。ノリの軽さが笑えます。

「ミートソース」でギトギトのギターを弾いてるのは佐藤タイジというお方のようです。今後チェックしていきたいと思います。

 4曲目からは「青白い男」を除けば打って変わってメロウだったり、ポジティブだったり、ナイーブだったりします。

「Affair」はメジャーデビュー前の音源をYoutubeで聞いたことがありますが、ジメジメとしたアレンジで、素晴らしいほどの救いようのなさでした。

このアルバムに収録されているものはアレンジが異なり、オルガンからわかるとおりちょっとレゲエのリズムになっています。ホーンアレンジが素晴らしい。

 「Spirit」は非常にギターが快活な曲ですが、個人敵にはやはり「そろそろいかなくちゃ」のうだつのあがらない歌詞が良いですね。自分を変えなくてはならないと気づいていながらも"そろそろいかなくちゃ"と呟き、何となく忙しいふりをして誤魔化すようなどうしようもなさが表れています。

「たとえば朝のバス停で」「木曜日、見舞いに行く」のユルさもたまりません。歌詞に秘められた思いは対照的なものですが。

 

総合すると、ポジティブな曲/ネガティヴな曲が混在してアルバムとしての流れはなんとなく悪いように思えますが(これこそ過渡期アルバムの魅力なのですが)、この時期のシカオ先生の歌詞のエグさ・表現性はやはり眼を見張るものがあります。男のダメな部分を歌わせたら正直この方の右に出る人はいないんじゃあないでしょうか。異論は認める。

先述した通りアレンジはまだまだシンセの目立つ音をしていますが、「たとえば朝のバス停で」は土臭さもなんとなく感じます。バンド形態の導入というのは、かつての90年代Jポップからの脱化としての一つの流れであったかもしれません。プレイヤーとしての側面が再び聞き手に受け入れられ始めたのはこの頃だったんでしょうか。この辺について私はまだまだ勉強が足りません。またそのうち。 

とりあえずこのアルバムはシカオ先生の色んな側面が垣間見えます。良曲が多いので、ぜひ。