らなる堂

音楽

バイトやめました。#2

(おわび:2018年12月22日現在のジャック・ホワイト氏はもうデブじゃありませんでした。大変申し訳ありませんでした。)

 

引き続きプレイリストの話を。

 

6, 平沢進 - 救済の技法

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氏の世界観に触れるにはうってつけのアルバムです。なぜならわたくしがそうだったから。とはいってもSpotifyで聴ける氏のオリジナルアルバムはこれと"SIREN"だけですが(なんかこないだ"時空の水"とか"サイエンスの幽霊"とか聴けたんですけどまた聴けなくなっちゃったみたい)。現在の氏はますますハードコアになってますが、この頃はまだ東南アジアからの影響がかなり色濃かった時期のはず。でも"Sim City"ほどの傾倒ではなく、当時の氏の真骨頂であった壮大なシンフォニシティとバランスよく融合した音楽となっています。個人的には代表曲"庭師KING"、"MOTHER"をよく聞いた覚えがあるんですけど、ランクインしてたのは"MOON TIME"でした。これもすごく良い曲なんですよもちろん。柔らかなクラシックギターソロとハイC#の歌声が響きわたる名曲です。

 

7, ミツメ - エスパー

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これはシングルですね...もう発売してから一年経ったそうです。彼らの曲のうちではかなりポップな方です。しかし1stアルバム"MITSUME"収録の"クラゲ"、"三角定規"と聞き比べると、アレンジの差は歴然としています。当たり前か。2nd以降からはミニマルなアプローチが多く、至近のアルバムでは音の隙間を生かした曲が多かっただけに、だいぶ直球で派手(?)な曲ですが、シンセの使い方は結構遊びが入ってますし、ドラムからはただの8ビートなんて絶対に叩かないという意思を感じます。ライブでは最後のシンセがどっと入ってくるところが歪みギターに変わったアレンジになっててこちらも良いですね。今年はミツメの年でもありました。ハマりすぎて、この曲じゃありませんが、これまた良い曲の"セダン"を無理を通してカバーしました。ギターのMさんとベースのMさんには今後もご迷惑をおかけしそうです。先に謝っておきます。ほんっまもうすんません(板東英二風に)

 

8, Lamp - ゆめ

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今年のベストライブ対象はLampです。なぜかというと今年のライブはLampしか行ってないからです。新譜ももちろん良かったんですけど(Spotifyで聴けます)、やはりこのアルバムが現時点で最高傑作なのでは。最高傑作すぎてCD買っちゃいました。サインももらっちゃいました。何度聞いてもこんな甘いメロディーを書ければいいと思いますし、こうやって甘い歌声で歌えたらと思います。次作ではかなり削られてしまうアレンジの絶妙さも素晴らしい。3曲目の"ため息の行方"は北園みなみ(当時)氏のモダンなオケのアレンジが美しい。過剰な甘さがないのは歌詞のおかげですかね。そういえばこの曲は作曲者である永井さんではなく別の男性ボーカリストの方が歌っております。ある意味でゆらゆら帝国とかスティーリー・ダンを彷彿とさせる、バンドの解体にも近いことすらもやってのけられた(次作では逆に3人の個性が重視されてる気がします)。ランクインした"渚アラモード"はタイトなリズムがクセになります。シンセがちょっとYMOの"Simoon"みたい。そして最後の曲には"さち子"が。染谷さんの作曲は神がかっております。これまでの曲の音作りを考えるとややチープとも言えるようなストリングスシンセを用いていながら、それが最適解であったことがまた面白い。初めて聞いた心地に何度でも戻りたいと思えるようなアルバム。彼らには、キリンジが成せなかった、終わることのない自分たちの音楽の追求を続けていってほしいです。

 

8, Drugdealer - The End of Comedy

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このアルバムについてはあんまり語ることはないですね...他の曲にはMild High Clubが参加しててヘロヘロな曲が多いんですが、スカスカな録音の曲が多くて過剰に脱力してしまうこともあり全曲はちゃんと聞いてないというのが正直なところです。全曲"Suddenly"みたいな曲を期待すると肩透かしを喰らいます。ノリノリな曲よりヘロヘロな曲が多い。ただLo-Fiのくくりによくある勢いだけの曲は一つもないのでご安心を。

...あとはピッチフォークくんが良いレビューをつけてるんでそっちをご参照ください

 

9, Mac Demarco - 2

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楽しくてユーモアのある曲を書ける人はだいたい大成してる印象があります。ソイソース音楽期の細野晴臣先生なんてそうですね。というか細野先生のバックグラウンドである60〜70年代アメリカ音楽は楽しい曲ばかりです。そういうバックグラウンドを引き継いでる稀有な男がマック・デマルコであります。ぶっといディストーションをかけることもなく、線の細い音のギターをかき鳴らして自分の好きなタバコの銘柄について歌ったりしてるわけです。"My Kind of Woman"、"Still Together"といったしっとりとした曲もお手の物。アルバム一枚さらっと聞けるのは、収録時間が短いこともありますが、彼自身に「ブルースをやらなきゃ(使命感)」とか「今日は昔のディキシーランドジャズをしよう(提案)」みたいな昔の伝統を引き継ぐ的な気負いがなく、あくまでロックンロールをやるというユルさがあるからでしょう。あとは全楽器自分で演奏していながらあんまり内省的になってないとことか。ある意味で大瀧詠一の再来かもしれません。夕暮れに合いますのでぜひ。

ついでにいうとこの時期のライブ映像は全部楽しそう。気の合う仲間たちとニコニコしながら演奏してる姿を見るとこちらも元気が出てきますねえ

 

10, Martin Courtney  - Many Moons

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Real Estateのフロントマン。うちの先輩に面影が似てる。"Vestiges"に見られるようなメジャーセブンスを多用したコード進行が曲に影を帯びさせ、深みを与えています。歌が終わった後のアウトロまでしっかり聴かせるアレンジも良いです。ギターソロは絶対にしない鋼の意志が見えます。本業バンドのようにリフが少しずつ変容していく巧妙さはありませんが、そのぶんフォーク愛とメロディーの良さが素直に伝わってきます。それにしてもこの人と同じくらい抜けの良い歌声なのはサム・プレコップくらいしか思いつきません。また初夏あたりに聴くこととなるでしょう。ジャケットのイメージ通りの音楽です。