らなる堂

音楽

American Football - Uncomfortably Numb

youtu.be
Sensitivity deprived
I can't feel a thing inside
I blamed my father in my youth
Now as a father, I blame the booze
I have become uncomfortably numb


Whose ugly side is the ugliest?
Sensitivity deprived
All my sympathy prescribed
(Whose hands are tied to a contortionist?)
I used to struggle in my youth
Now I'm used to struggling for two
I have become uncomfortably numb


The lessons
(The lessons)
Are so much
(Are so much)
Less obvious
The further you get from home
(The further I get from home)
How will you exist
(How will I exist)
Without consequence?
I'll let you know


(We were gentle to begin
When I pushed you around to break you in
Now whenever I try to be clear with you
I only end up feeling see-through
I've tried, but you've won
Comatose, like father like son)


The lessons
(The lessons)
Are so much
(Are so much)
Less obvious
The further you get from home
The further I get from home
How will you exist
(How will I exist?)
(I don't want to know)
Blacked out, protected
I just want you home
I'll make new friends in the ambulance

 

感覚を失っている

人の心を感じることができない

やんちゃな頃は父を呪っていたけど

今は一人の父として、酒を呪うよ

不快なしびれに陥ってしまったんだ

 

誰の醜い側面が最もひどいのだろうか?

感覚を失っている

自分への同情を全てつぎ込んだ

誰の手が曲芸師と縛り付けられているんだ?

やんちゃな頃はよく苦悩していたけど

今は二人分の苦しみを抱えるのが普通になった

不快なしびれに陥ってしまったんだ

 

教訓はちっとも理解できない

あなたが家から遠ざかるほど

(私も家から遠ざかっていく)

あなたはどうやって生きていくのかな

(私はどうやって生きていくのかな)

このツケを無しにして?

あとで教えてあげるよ

 

(私たちの始まりは優しさに満ちていた

言うことを聞かせようとあなたを振り回した時だって

今はいつだってあなたからの許しを得ようとしている

結局私には何もかも見えてしまっていたから

私は挑んだけど、あなたはたどり着いてしまった

昏睡状態、血は争えないということ)

 

教訓はちっとも理解できない

あなたが家から遠ざかるほど

(私も家から遠ざかっていく)

あなたはどうやって生きていくのかな

(私はどうやって生きていくのかな)

このツケを払うことなくして?

(知りたくないよ)

真っ暗だ、どこかに保護されたんだ

あなたには家に帰って欲しいんだ

僕は新しい友達を作るよ

救急車の中で

 

エモの始祖と言われているアメフトの曲です。ぼくにはあんまりエモというジャンルに良いイメージが無いんですし、ジャンルの定義がまったくもって不明瞭なので困ります。なんとなくシカゴ音響派との共通点を感じたり感じなかったり。

で、この曲なんですけど、重いですね。前作も浮気癖の男とか恋人への恨み、どうにもならない自分への失望など重いテーマばかりですが、この曲はそれに輪をかけて重い気がします。

詩を読めばなんとなく掴めるでしょうけど、恋人との関係に嫌気が差して酒に逃げた...だけでなく、父親に対するコンプレックスもそれとなく投影されており("Comatose, like father like son")、より問題がこじれております。逃げ道がないどうしようもなさ。エモってこんなろくでなしについて歌うようなジャンルだったの?と思ってしまいます。最後のフシ("I'll make new friends in the ambulance")にはため息しか出ません。

 

アレンジについてコメントいたしますと、アメフトのわりにはギターワークはかなりシンプルです。ずいぶんシンプルなアルペジオですね。変拍子もありません。明確なアメフトらしさを醸し出してるのは右チャンネルからのハーモニクスによるフレーズとトランペットくらいでしょうか。

 

つい最近ライブの映像が挙がっておりましたが、こういう場所で録音したんだからしょうがないとはいえ、ちょっとしょぼい感じがしました...リバーブがかなり曲の雰囲気を作ってることがわかりますね。

youtu.be

 

ピンク・フロイドの名曲との関連性ですか? 正直わかんないです...

 

和訳を読んで無理やり対比させてみると、"Comfortably Numb"が薬物による昏睡・昏迷状態の中で子供時代の思い出やらトラウマがフラッシュバックすると同時に忘却・抑圧(克服した感じはなさそう)へ至ります。しかしその記憶は「熱が出て手が恐ろしく腫れた」という内容であり、非自己の存在はありません。

そして、非自己によりもたらされた"Numb"により、その記憶からの解放が歌われるのです。

 

"Uncomfortably Numb"では、過剰な飲酒(たぶん)により、父親に対するコンプレックスや恋人との確執(?)の忘却・抑圧を図ろうとしています。どちらも少なからず非自己に起因するものです。自己によりもたらされた"Numb"は何の解決にも至りません。PVでは恋人来ちゃってますし。一時的に問題が見えなくなるだけです。

 

"Comfortably Numb"は希望すらも感じさせますが、"Uncomfortably Numb"は絶望的です。"Comfortably"と"Uncomfortably"の差は当然ながら大きいわけです。

 

とはいえ、"Comfortably Numb"の薬物の効果も一時的かもしれませんからどうとも言えませんけどね...

とにかく比べてみると面白いです。