らなる堂

音楽

療法

何も考えないように音楽を聴きながら時間を過ごすことは一部の人間にとって大事なことです。同じコード進行をずっと繰り返すような曲がふさわしいと考えます。

 

1,Mogwai-"Take Me Somewhere Nice"

モグワイ 時には女とモグワイ(向井秀徳はMCでこんなことを言ってません)

Mogwaiで動画検索すると真っ先に出てくるクリップです。Mogwaiには初期・後期の原点回帰時代のメタルを思わせるようなシビアな音楽性と、中期のギターノイズと弦楽器、ボーカルなどを散りばめたソフトな音楽性を見ることができます。これは後者を主体に置いた3rdアルバム収録の曲です。ボーカルはたぶんスチュワート。曲名から見て取れるように厭世的な世界が広がっています。最後の詩「悪くあれ」というのが「ブラーはクソ」Tシャツを作ったパンク魂でありましょうか、それすらも哀愁を帯びて聞こえます。弦楽アレンジは敏腕プロデューサーのデイブ先生ではないようですが、編曲面も含めて傑作の一つであると思います。

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2,Mercury Rev-"Holes"

G majorの循環コードをぐるぐるし続けてるだけの曲ですが、オーケストラの編曲が見事です。バンドとしての面影は残っていますが、目の前がぱっと開けるような弦楽の導入、浮遊感をもたらすノコギリの音、ファンファーレのように明るく鳴ることはなく、影を帯びた響きのあるトランペットのソロに見られるように、主役はほぼオーケストラであります。この曲に限らずジョナサンの詩は結構シュールなんですが、「バンド、くだらない小さな考え、正しく動くことなんて絶対にない」というのは、前作で脱退したデイビッドのおっさんも含めた過去が関係しているのでしょうか。

動画はPVではございませんが、素晴らしくマッチした映像です。

 

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3.Mojave 3-"My Life in Art"

柔らかく吹き抜けるオルガンとハーモニカが良いですね。口の悪い(?)踊り子と客の男(子連れ)の物語の一シーンのようですが、行くあてのない世界の悲哀が穏やかに歌われている、気がします。このアルバムにはこの曲と同じような曲がもう一つ欲しいところでありました。前身がシューゲイザーバンドともあってか音響的・アレンジ的に、いわゆるフォークロックのスカスカ感(ボブ先生とか偉大なる死とかのイメージ)とは違ったしっとりした感じがあります。休符が少ないとかそんな理由かもしれませんが。夕暮れに聞くと涙がこぼれそう

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なんとなく書いてて考えたこととしては、選出したわたくしの嗜好の問題もありますが、どれも90年代の曲ということです。

フォークにしろパンクにしろメタルにしろプログレにしろ、ビートに体を揺らす瞬間、"縦ノリ"する瞬間がある曲があります。

これらの曲はどうでしょうか。ノレないわけでは無いと思いますがなんとなくビートによって体を揺らされるというのとはまた違う感覚の上に成り立っている曲だと思います。

ラモーンズは超シンプルなコード進行で世界を熱狂させましたが、そこにはスピード感と8ビートの快楽があります。これらの曲はそれと引き換えにアレンジメントという新たな要素を取り入れることを可能としたことを示しているのかもしれません。それだけ技術の発展と定着があったということでしょうか。

もう少し考えて見たいと思います。

 

また増やすと思います。

思考メモ

・良いことと悪いことが手を取り合って押し寄せてきそうです。安心を得ようと先のことを考えると崖のふちが見えそうです。

・悪いことをフラッシュバックする癖はいつまでたっても治りません。何か不幸なり労苦を味わえば良いことが与えられて当然と考えてるフシのある私にとってその行為は何をどんな快を得る目的があるのでしょうか。

・ミーハーなもので「わたしを離さないで」を読みました。こちらも色々と自分に思い当たるフシがある話でした。生きる目的を私は時々求めますが、彼女たちのように

生きる目的=死ぬ目的なのでしょうか。生きる目的ってなんですかと人に聞かれてそんなことを口走りましたが首を傾げられたあたりもう一度考え直す必要がありそうです。

The Sea and Cakeにハマっております。1stのギターをガシャガシャいわせてサムが血圧低そうに歌うあの感じがたまりません。The Flaming Lipもそうですがヘッポコなボーカルが好きです。4thの過渡期感についてはそのうち記事にします。最新作のRunnerについてあまり触れている方がおりませんが、あのアルバムはタイトル曲に真価があると思っています。アナログシンセが利いてほどよくサイケです。走り込んだ人間がゆっくりと倒れこむような想像を一つ。

 

・夏が終わってしまいましたが一番好きなナンバーガールのライブ映像を貼っておしまいにします。何が好きかってそりゃ向井先生のZazen Boyへのファッションにおける移行が見られるからなのですが。ラストライブはなぜネルシャツにまた戻ってしまったのでしょうか。ナムヘビというアルバムはバンドの鋼のごときアンサンブルが完成したと同時に、向井先生の特異なギターワークが堪能できるアルバムでもあります。「CHIBICCOさん」での多重録音ソロ(もうこれわかんねえな)はまさに奇々怪界

単音弾きでゴリ押すかと思えば哀愁あるフレーズをペラリ。このライブでも披露されていますが、ここではだんだんとひさ子先生の弾くリフとユニゾンになる中で、ズレた音程がまた脳を揺らすのです、

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思考メモ#4(音楽ストリーミングについて)

結局迷った挙句にSpotifyにしました。

 

理由は音質です。なんかApple Musicだと高音域とか低音域以前にマスターの音量が小さい気がします。"ミュージック"アプリ特有の微妙な音質だと何となく不満足。

Spotifyも圧縮音源なんでぇ、とことん拘る人にはどっちも同じようなもんなんでしょうけどぉ(ネットリ)、EarPodsで聞いても微妙なのはちょっとねえ

 

あとはiTunesの使い勝手の悪さですね。

Apple Music導入初期から言われていたことですが、iCloudライブラリをアクティブ化するとパソコンからiPhone上のCDから取り込んだ音源が削除できなくなります。

iPhoneの"ミュージック"アプリで直接ちまちま削除するのも手ですけどめんどくさいんじゃ。既存の音源と住み分けがキチンと為されている方が良いと感じた次第です。

 

それにしてもSpotifyApple Musicよりも洋楽が多いと言われておりますがホントでしょうか。

なんでもかんでも聞けるというのもアレですが、Ry CooderとかTom Waitsのライブ盤とかはApple Musicの方が多いし、Canなんてオリジナルアルバムが1枚(しかもInner Space/Out of Reach)と"The Single"しか登録されてません。

It Can Dead Show.

要するにこれは最近はやりのEDM系おんがくの量が多いということなんでしょうか。

 

全部揃ってない方がCDを買ったり借りたりを楽しむ余地があるので、まだ物理フォーマット至上主義から抜けてないぼくには丁度良いかもしれません。

Spotifyについては、もっと古い音源、特に流通量の少ないライブ盤とかをもっと挙げてくれると貧乏人にはありがたいですね。

 

 追記:デッドヘッズな方はSpotifyをオススメします。ライブ音源てんこ盛りです。

思考メモ#3

Apple Music 無料トライアル4日目。

だんだん節操が無くなってきた

今のところ1アーティストorバンドにつき1枚とか縛りを入れているが、いつまでもつのやら

 

実験音楽系は買っても大して聞かないからダウンロードでええかと思ってしまう

こういう音楽ほど音質が求められているということはわかってはいるつもりだけど

 

聞く音楽が多いと何だか1曲ごとの集中力が薄れてくる まずい

思考メモ#2

Apple Music無料トライアル1日目。まだ節度を保っている。何となくはしゃぐ気になれないのはCD買わない罪悪感か、今までCDを借りる・買うという過程(儀式・儀礼)を取ってきた自分を否定するようだからか。まあ一ヶ月もすれば罪悪感もなしにダウンロードしまくっているんだろうけど

聴きこむという行為が無くなりそうなのが一番怖い

音楽をファッションのように身につけるならわかるけど、

音楽を下着のように毎日履き替えてしまいそう

サニーデイ・サービス@日比谷野外音楽堂(2017.8.27)

覚え書きとして。

 

とにかく圧巻でございました。ジャムとかソロの競い合いとかのテクニックではなく、純粋に曲の良さと勢いで魅せてくれました。

 

MCは1曲目終わってからの「座っていいよ、椅子あるんだから(笑)」とアンコール2回目での「また次も野音で演ろうって、たまに演るのが良いんだけど(笑)」くらいで(うろ覚えです)、後は休みなくぶっ通しです。さすがプロです。熱量の高かった「さよなら!街の恋人たち」「セツナ」でヘトヘトになりそうでしたが、その分「海へ出た夏の旅」や「時計を止めて夜待てば」などのバラードが沁みました。

 

選曲としては夏終わりかけということもあってか「愛と笑いの夜」「24時」「MUGEN」からの選曲が多く、特にわたくしは「MUGEN」が大好きなので、「八月の息子」「江ノ島」でウルッとしかけました。

 

曽我部さんは「96粒の涙」以外はほぼ白いグレッチ(たぶん)を演奏しておりました。とにかく音がデカいのなんの。リードもリズムもできる強みを存分に発揮しておりました。「さよなら!街の恋人たち」での弾き倒しっぷりには燃えました。歯ギター→回転弾きとか最高でした。ギターソロの時もフィードバックノイズを組み込んだものが多く、特に「24時のブルース」での後半のソロはほぼフィードバックノイズでした。メタルマシーンミュージックですかと内心ツッコミましたけど非常に効果的な演奏だったと思います。歌の調子もすごく良かったです。相変わらずホントに良い声でした。日本のニール・ヤングですね(問題発言)

田中さんのベースも相当音がデカかったと思います。サウンドのバランス的にはちょうど良いものだったんでしょうけれど。どちらかというとこの方のベースはどこぞの敏腕音楽プロデューサーと違ってガンガン主張しまくるタイプではありませんが、音源と演奏してた人とは違う人なんかと思うくらいに疾走感のある演奏でした。音圧が違うというだけでは説明しきれない何かがあったと思います。コーラスも素敵でした。

 サポートギターの新井さんはなかなか堅実な演奏でした。もっとアドリブとか入れまくってバリバリ弾きまくるのかなーと思いきや、基本的には音源に忠実な演奏でございました。「海へ出た夏の旅」の前奏ではE-bow(たぶん)と音響系のエフェクターを用いた演奏を、「24時のブルース」「夜のメロディ」でのリズミカルなカッティングを担い、コーラスまでやってのけるなど結構な活躍ぶりでした。

 

キーボートの高野さんは基本的にリズムバッキングやストリングシンセによる助奏が主体であまり強く主張するような演奏ではありませんでしたが、確かこの方も「海へ出た夏の旅」の前奏でナゾの電子ノイズを発生させたりしておられました。ギタリスト二人がギャンギャン言わせてる中で、裏方として重要な役を担っていたのではと思います。確証が持てないのはわたしのクソ耳のせいです。ごめんなさい。あとタンバリンを振る姿がとてもステキでした。

ドラムの岡山さんは田中さんとともに化け物じみた疾走感を出しておりました。フィルインはほぼ音源に忠実なものでしたが、結構荒々しさのある演奏もお得意なようで、「セツナ」とかは原曲のセンチメンタルさはどこへやらといった叩きっぷりでした。「花火」でのスネアの抜けのいい音も印象的でした。当然勢いがあいまってテンポも暴走するなんてことはなく、非常に正確なリズムキープをなされていただけに、もっと叩きまくっても良かったんじゃあないかなと回想していますが、やっぱり程よく演るということが一番ベストなんだと思います。

 

あとはなんか思ったことを。

・野外だけにセミとかビロードツリアブをでっかくした虫とかコウモリとかおりましたがそれもまた一興です。蚊に刺されなかったのは奇跡です。

・一曲目の「今日を生きよう」では、一人でリフだけ弾いてみても全く雰囲気がでない曲だけに(「24時」全ての曲に言えることかもしれませんが)、やっぱりこのバンドの"魔法"とでも言うべきナニかを感じました。ユルさだけじゃ成り立たないナニかがあります。

・「さよなら!街の恋人たち」では曽我部さんがとにかく弾きまくったあとギター・ベース3人ともアンプに近寄りフィードバックノイズを撒き散らしておりました。まるでSonic Youthみたいだぁ...(恍惚)

・「シルバー・スター」は音源だと地味目な曲なんじゃないかと思っとりましたがお客さんは結構盛り上がってましたネ。あのバンジョーのイントロもギターで再現。

・「24時のブルース」が終わったあと「週末」で緊張の糸が切れてトイレに行ったのはわたしです。なんやスティールギターは無いんか...じゃあええかと思ったことを深く後悔しております。

・最新アルバムからは「花火」だけでした。「Popcorn Ballads」にはオートチューンを多用した曲が多く、そのままだと再現しにくいから大胆にアレンジした演奏が聴けるんじゃないかという期待はありましたが。この曲はほぼまんまでした。サビの移行が気持ちいい。

・ほぼ陽が落ちたあたりで後ろのスクリーンに映っていたモヤモヤした感じの映像は一体何だったんでしょうか。

・「One Day」の照明の演出は泣けました。あ、やっと・・・夏が終わるんやな・・・

 

 

素晴らしい演奏を本当にありがとうございました。