らなる堂

音楽

一生呪ってやる

早くドラムスティック買わなきゃ(使命感)

 

最近自分の中ではFeltがアツいです。まだ俗に言うチェリーレッド期も作品しか聞いてないんですけど、ここ最近のどんより曇った空気に合うモノクロームな雰囲気が良いです。特に2ndの退廃とも華美とも言えない空気はなんなんでしょう。リーダーのLawrenceの一本調子ボーカルもクセになります。ネオアコと呼ばれるバンドの中では一線を画すバンドであることは間違い無いでしょう。

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1stから4thアルバムまでの独特な空気を醸し出しているのはMaurice Deebankのリードギターの存在が大きい。ただコードをアルペジオで弾いてるだけではないそのスタイルの根底にはスパニッシュギターがあったわけですね。スパニッシュギターはわしもエレキで弾いてみようと思ったことがありますが、ギターだと五線譜はまったく読めないのであっさり断念したことがあります。彼は2018年にインタビューに答えてるんで行方不明というわけではないんですが、Felt脱退後は作品を全く残してなくて悲しい。

 

で、なんで急にFeltにハマりだしたかというと、コーネリアスこと小山田おじさんの新作が評判通りよかったからです。2018年の新作"Mellow Waves"はSpotifyで聞けることは知ってたんですけど、一時期小山田おじさんの音楽に興味を失っていたこともありますし、前作、前々作や前々々々作のメタル風おふざけ曲や、前々作の嫌がらせ高周波数音、前々々作の謎のヒネクレ歌詞(「僕のくだらない 空想の旅に〜」のあたり)とか入ってるんでしょ、と勝手に辟易してました。

 

人の評判というものをそろそろ正直に受け止めるべきだと改めて思いました。

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もうこの二曲だけでOKです。歌詞が坂本慎太郎先生だし。

あの小山田おじさんがこんな素直な(あくまで当社比、クロマチックスケールを突然ぶっこむあたりやっぱおじさんらしいなあと思いました)ギターソロ弾く時が来るとは...

今作は変拍子とか相変わらず凝った音響処理とか、部分部分はおじさんらしいヒネクレ感に満ちてますが、全曲に一貫して存在するコンセプトの素直さに胸を打たれました。

おじさん特有のニヒルさとか嫌がらs...悪戯心があまり得意でない人もぜひ。

ぼくは別におじさんの根強いファンではないのでおじさんのイタズラとか仕掛けに対してどこぞの眉毛弟の熱心なファンみたいに「リアムの奴またやらかしたのか(ニヤニヤ)」みたいな対応はできません。あしからず。

 

 

...全然Felt関係ないやんといったところなんですが、この"Mellow Waves"のリミックス盤として"Ripple Waves"というのが出まして、これにFeltのLawrenceがリミックスを提供してるわけです。そのリミックスしてる曲が普通に歌がある曲じゃなくて、アンビエントっぽい「Surfing on Mind Wave Pt2」という曲なんですね。とにかくこの曲でのLawrenceのおふざけっぷりと言ったらもう。なぜか「こぉ〜にぃぃぃりぃあぁ〜す」と歌い出すLawrence。突如挿入されるドラムマシン。本人が弾いてんだか弾いてないんだかよくわかんないギターとシンセ。もう意味不明です。なんやこいつ...と思って調べてみたらFeltのフロントマンだったという顛末です。

Feltでは儚げなキャラを見せていたLawrenceが一体なぜこんな方向性に至ったのかは謎ですが、Felt解散後のLawrenceは突如エレポップ路線に走りだしたということは非常に有名です。

Lawrenceの遍歴は次の通り。

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デカイ帽子かぶってんのがLawrenceです。

 

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マイク持って突っ立てんのがLawrenceです。

 

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ビデオに映ってる人物がLawrenceです。

まあこうして見てみると割とエレポップ路線もありかなという気がしてきます。

 

小山田おじさんの話に戻したいと思います。とにかく"Ripple Waves"もなかなか聞き応えのあるモノだということです。細野晴臣先生のリミックスは文字通りの「リミックス」で想像を裏切られるようで面白い。そして坂本教授のリミックスもあります。教授は「あなたがいるなら」をリミックスしており、これもう坂本慎太郎坂本龍一の三大坂本(もう一人は坂本冬美)の共演やん!と興奮してたんですけど、いざ聞いてみると小山田おじさんの歌唱トラックは「あなた」の三文字しか使われてなくて泣きました。リミックスというのは概してそういうものです。曲そのものは素晴らしいので。

それよりも問題なのはなぜおじさんは細野・坂本は指名しといて高橋ユキヒロを指名しなかったのか。忙しかっただけでしょうか。変な意図がなければ良いですね(ゲス顔)

 

 

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一生こんなユルい音楽に囲まれて暮らしたいといつも考えてます。

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キーボードのキャラにパブロ君が喰われ気味になってるって、それ一番言われてることだから。

 

 

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FeltのCDをアマゾンで調べてたら関連商品に出てきたので早速聞いてみました。なんとなく曲調とか音の配置とかこもり方とかジャケットの絵とかが80年代っぽかったのでたぶんFeltとかPrimal Screamとかと同じくらいに結成してネオアコブームに乗っかって1枚だけアルバム発表してストーンローゼスが出てくる前に解散しちゃったバンドなんだろなあと勝手に脳内で設定を作ってそのままにしてたんですけど、なんと2018年にリリースされたアルバムだったようです。今時ベースにコーラス掛けるバンドなんておったんか...と驚きました。

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3人で演奏してるという現実から目を背けたくなるほどの音の充実っぷりですね...ドラムの姉ちゃんも結構上手やんけ...

現在はキーボードを加えて4人編成らしいですね。新譜ではディスコっぽい方向性になってました。非常に80年代らしいっちゃらしいですけど、元のインディー感あふれる曲が無いのはなんとなく寂しいですね。

 

 

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ティーンエイジファンクラブ再評価中なんですけど、大方の人がそうであるようにわしもジェリー・ラブ作曲の方が好きな曲が多いことに気づきました。「Radio」「Sparky's Dream」などなど。

行きつけのブログの管理人さんがティーンエイジファンクラブの来日公演を聞きに行ったらしく、簡単なレビューを書かれていたのを読んだのですが、その文だけでもジェリー・ラブの存在の大きさを感じることができます。脱退したのもメンバーとの喧嘩別れじゃなくてジェリー・ラブの飛行機恐怖症が理由というのがなんともやるせない。

またソロアルバムを作って欲しいと願うばかりです。

 

セブンでバイオテロ

バイトテロの見間違いでした。

 

昨日ついにドラムスティックが折れたので今日はドラム特集です。

新進気鋭のドラマーは知りません。ベテランだらけです。

 

ja.wikipedia.org

ドラムスティックの握り方にはレギュラーグリップとマッチドグリップがあります。

大体のイメージはロックがマッチドでジャズがレギュラーみたいなもんですけど世の中いろんなドラマーがいるのでそうとも限らないのが現実。

わしは下手くそなんでどっちでやってもへなちょこドラムなのは変わらないんですけど、今回はマッチドグリップで叩いたから折れたんじゃね?という勝手な考察をしております。実際のところは力みすぎというのが真実でしょうけど。

 

よく某巨大掲示板で「メタルドラマー vs ジャズドラマー」みたいな不毛な議論がよく交わされてます。あーいうスレの中で実際にドラマーの人ってどのくらいいるんでしょうね。「ジャズドラマーの方がすごい=ジャズドラマーの方がすごいことを知ってる俺がすごい」と言わんばかりの人もよくいますけど別に知ってるということは大してすごいことではないので注意が必要です。

 

 

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Spotifyで"3"しか聞いてないんですけどこのバンドのドラマーはすごい。変拍子への対応もすごいし何しろ手数がおかしい。動画だと1:00~あたりです。最初オーバーダブしてんのかと思ったんですけどよく聞くと全然違うことがわかります。マッチドでこの手数ってやっぱプロってすごいと思いました。

 

tricotはガールズバンドの最高峰です。

 

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 ドラム怪人の一人です。わしは最近知ったクチですが。ドラムソロ不要論を打ち出す人もいますけどそーいう人はあんま音楽を真面目に聞いてない人だと思います。...まあわかる人にしかわからないみたいな姿勢はわしも嫌いですけど。

この怪人はテクニックは言わずもがな、表現力がすごいですね。あ、表現力とテクニックって表裏一体なんでしたっけ。ドラムソロ1時間でも見てられます。

 

 

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現代の怪人ドラマーでありながらウィルコのドラマーも務めるグレン先生です。数多にあるこの人のレコーディングやらライブで見るたびにビートの正確性に舌を巻きます。

現代音楽然としたものも演奏すれば、Wilcoのこういう曲で↓突然牙を剥く時もあり

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ポテンシャルの高さに驚きます。この人はレギュラーグリップです。レギュラーグリップでこんな力強く叩けるんならやっぱわしもレギュラーグリップで叩こかな。

どうでもいいですけど最近のジェフさんを見てると心からこの頃の体型に戻って欲しいと願う今日この頃です。

 

 

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Jさんもドラマーなのは有名な話です。パンクは全然聞かずに育ってきたんでこういうドラムパターンは新鮮です。彼はマッチドグリップですね...当たり前か。

 

 

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日本人のドラマーだとOGRE YOU ASSHOLEの勝浦さんが好きです。正確無比なビート感、抜けのいいサウンドなどなど。本人も「機械になりたい」(要出典)とおっしゃるほど卑近だとシンプルなパターンを叩くことが多くなってますが、その中で猛烈に暴れたりする瞬間が猛烈に好きです。"Homely"はそのバランスが取れてました。新作はこれ以上地味な存在にならないで欲しい。やっぱりマッチドグリップじゃないか(憤怒)

 

 

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「Dub Sorcerer」のライブ動画が欲しかったんですけど消されてたみたいなので代わりを。ドラムンビーツの如く演奏される本田珠也先生のお姿をもう一度見たかった。この動画だと途中でマッチドグリップからレギュラーグリップに変えてますね。両方使えるのがベストなんかなあ。

 

 

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やっぱりレギュラーグリップが一番やな!

ゾンビは階段を登れない

いかがお過ごしでしょうか。

3連休はとことん怠けました。

本日は特撮大好きおじさんとしても有名なAMTの河端一先生のブログを読んでたらもう1日が終わりそうです。

昨日は山本英夫先生の「ホムンクルス」を再読してたら1日が終わってました。

一昨日にいたってはもうなにも思い出せません。

ずっと家に引きこもっていたもので、目の疲れだけは日に日に蓄積されている気がします。

忙殺されかけた一月もいつのまにか終わりました。自分のコミュ力の限界を思い知った日もありました。追い込まれた挙句に口走った言葉が「今日の楽しみは23時に寝れることだあ〜」でしたのでどんだけ追い詰められていたのかは容易に想像できるかと思います。八割方自分で蒔いた種なんですけど。

まだまだやることが待ち構えている二月でございますが、先週は風邪をひいて喉の痛みに苦しみ、それが治ったとおもったら今度はひどいドライアイに悩まされ、現在はしもやけによる指先の痛みに苦しんでおります。体の二カ所以上が病んでるともうこれ以上生きてけない気がしますね。

 

ミツメの5thがかなり良さそうなんで買おうか迷ってます。どっちみちSpotifyにも挙がるんだろうけど、Spotifyもいつ止めるかわからないし、何より所有欲を満たしたいというのがあります。特典あったら絶対買う。

 

 

また暇があったら更新していこうと思います。

 

 

www.ele-king.net

もう六年前のインタビュー記事ですが、とてつもなく面白いです。

えれきんぐというサイトは、音盤レビューでは、隙あらば書き手の政治的思想を挟み込ませたり、インタビューとあれば、相手のアーティストにあからさまに政治的な言葉を語らせようとしている記事がたまにあって、そういうの抜きでもうちょっと音楽を語れんのかいなと辟易する時もあったんですけど、この河端先生のインタビューはそういった流れに反しているような内容で非常に面白いです。もちろんインタビューの方が全然そういう話振ろうとしてないのもあります。

たとえば反原発とかでも、俺も意見はあるよ。でも音楽を手段に使うなと俺は言いたい。」(5ページ目)

別に件のグラミー賞のPVに反目するつもりはないです。わたくしとしてはもし手段に使うんならあのPVくらいの覚悟が必要だと思ってます。

 

えれきんぐの文句を垂れてしまいましたが、末期のクッ◯ーシーンに比べればよっぽど質の高い記事が多いです。こないだのマーク・スチュワートのインタビューはちょっとアレだったんですけど...まあ、あのおじさんはそういうの抜きでは語れないからね、しょうがないね。

 

 

 

そういえばクッ◯ーシーンはなんであんなんなってしまったんでしょうね...昔はいろんな人がレビュー書いてて面白かったんですけど、どんどんレビュアーさんが減ってって、最終的には質の低い天声人語みたいになってました。

一難去って

体調崩しそうな生活してたら体調崩しました。

 

 

vimeo.com

Youtubeにはあたかも死体探しが目的のような趣旨で紹介して転載してる動画がありますが、死体探しが目的の動画ではありません。カメラが捉えているのはリアルな‘死の痕跡’です(死体の写真もちょっと写ってますけど)。

「いいこと考えてください」という言葉は、十年前にこの動画を見てからずっと心に残っています。

 

私はまだ死にません。

 

 

 

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たのしい

 

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ライブ版の方がキーを変えてるせいか柔らかな印象を受けます。アルバム版のクールな感じも好きです。

還暦過ぎてもうすぐ70も近いというのにこのおじさんのアクティブさには驚くばかりです。裸足でパフォーマンスしようなんていうアーティストが他にいるでしょうか。

ある朝起きたらオレ 女子高生になってた おっさんが少女に おっさんが少女に

明けましておめでとうございま〜す(ダウナー)

5つくらい課題の山がありまして、ようやく4つ乗り越えたところなんですが残りのもう一つに全く手がつかない。締め切りまで一週間切ってるんですけど全くやる気がでない。意味をほとんど為してない文章が頭から噴水のごとく湧き出る時もあれば完全に枯渇してる時もあります。もう寝ようと思います。

 

晦日あたりに期限が切れるPaypal使用限定のクーポンを使いたかったんで、Paypal支払いが使えるHMVのオンラインショップにてミツメのアルバムを注文したんですけど、

 

来ない。

 

一ヶ月経っても来ない。

 

クーポンの説明文には「不具合が報告されてるのでHMVでは使わないでください」って書いてあったんで自己責任なんですけど、支払いページにはクーポンもちゃんと表示されてたので大丈夫そうだったんですけどね〜おかしいですね〜

 

すでに前途多難ですが、これからもどうぞよろしくお願いします。

 

 

 

 

零進五退

・やることは山のようにあるんですが一切進んでおりません。毎朝起きるたびに「やることリスト」が頭の中で組みあがりますが、12時間後にはすっかりやる気をなくして明日やればいいやモードです。明日で2018年終わっちゃうぞぉ〜ええんかぁ〜

今日もね...やろうとしたんですけどね...ちょっとコーヒー飲みすぎちゃって頭働かないんだよねえ...また明日やればええか(無間地獄)

はてなブログくんが「1年前のブログを振り返ろう」とかいう去年わしがうだうだ書いてたブログ記事のリングが貼ってあるメールを出してきやがりました。ちょっと読んじゃったんですけど完全に病んでますねクォレハ 今思えばどこにも救いがない状態でした。

...ウソです。誰にも助けてと言ってなかっただけです。自分で自分の首を絞めてたわけですね。

今年はだいぶマシでしたね〜ちょっと11月あたり危なかった気もしましたが、明るく悶々とした生活を送れたと思います。たぶん来年の今頃はまた病み始めてると思うんでそんときは気をつけてください。

・おかげさまで累計3800アクセスです。今年中に4000アクセスいくかな〜と甘い見込みをたててましたが、このブログにそこまでのコンテンツ力とか求心力はないんでしょうがないね。でもまあ一月で100アクセスくらいは稼げるようになったんでよかったです。8割方誤アクセスだったり瞬時にブラウザバックされた結果であっても嬉しいです。こんなブログだれも継続して見てる人なんていないと思うんで今後も好き勝手やっていこうと思います。好き勝手やりすぎた結果、中年男性特有のねっとりとした文体でもって偉そうに音楽や政治を語るようなブログにだけはならないようにしたいと思います。

わしのブログに偽ウイルス表示がやたら出るのは偽セキュリティ警告サイトの怪しい日本語を勝手にサンプリングした曲を作った因果ですね。

アフィリエイトは入れません。間違ってめ◯ゃコミの広告なんて入ろうもんなら、三角コーナーの生ゴミにも似たクッソ汚いおやじやらナニの形をした飛行機やら100万回殺しても足りないくらい憎たらしいエスパーキモデブ野郎の絵が飛び交うこととなります。なので、成人漫画家の皆様は中年おやじやキモオタの絵に力を入れすぎないでほしいです。...そうじゃなくて、今後もアマゾンアフィリエイトも含めて広告は貼らないです。ホントは貼り方知らないだけなんですけどね。

目標は「おやすみ君日記」のようなコンスタントでスマートなブログです。

・そういえば結局、Bitch...PitchforkくんはSuedeの今年の新譜"The Blue Hour"についてレビューしませんでした。Pitchforkくんは別にSuedeのことは嫌いじゃないと思うんでなんで書かなかったのかナゾですが、わしの今年の2018のベスト新譜は"The Blue Hour"か、Unknown Mortal Orchestraの"Sex&Food"です。

Suedeについてはこの一枚でだいぶ認識が変わりました。内省性が魅力であったはずの彼らの今の音楽からは広く荒涼とした大地が見えてきます。彼らはもうナイトクラブにはいません。果てしない荒地、降り注ぐ爆弾の雨の内にいるんです。なんだこのスケール感は...!!と驚愕しました。ギターのリフが狂おしく美しい。Mogwaiの轟音よりも遥かに雄弁です。行き場を無くした人、愛されない者たちの絶望と鳥の礫死体にまで注がれる深い慈しみで満ちています。もうこれをロックというのかどうかはわかりませんが、Suedeに偏見がある人はぜひ。

・年越す前に一つくらいまともな曲あげようと思ったんですけど今日はもうギターでコード弾いてるだけのデモつくったら疲れました。無言不実行。

・来年もよろしくお願いします。

バイトやめました。#2

(おわび:2018年12月22日現在のジャック・ホワイト氏はもうデブじゃありませんでした。大変申し訳ありませんでした。)

 

引き続きプレイリストの話を。

 

6, 平沢進 - 救済の技法

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氏の世界観に触れるにはうってつけのアルバムです。なぜならわたくしがそうだったから。とはいってもSpotifyで聴ける氏のオリジナルアルバムはこれと"SIREN"だけですが(なんかこないだ"時空の水"とか"サイエンスの幽霊"とか聴けたんですけどまた聴けなくなっちゃったみたい)。現在の氏はますますハードコアになってますが、この頃はまだ東南アジアからの影響がかなり色濃かった時期のはず。でも"Sim City"ほどの傾倒ではなく、当時の氏の真骨頂であった壮大なシンフォニシティとバランスよく融合した音楽となっています。個人的には代表曲"庭師KING"、"MOTHER"をよく聞いた覚えがあるんですけど、ランクインしてたのは"MOON TIME"でした。これもすごく良い曲なんですよもちろん。柔らかなクラシックギターソロとハイC#の歌声が響きわたる名曲です。

 

7, ミツメ - エスパー

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これはシングルですね...もう発売してから一年経ったそうです。彼らの曲のうちではかなりポップな方です。しかし1stアルバム"MITSUME"収録の"クラゲ"、"三角定規"と聞き比べると、アレンジの差は歴然としています。当たり前か。2nd以降からはミニマルなアプローチが多く、至近のアルバムでは音の隙間を生かした曲が多かっただけに、だいぶ直球で派手(?)な曲ですが、シンセの使い方は結構遊びが入ってますし、ドラムからはただの8ビートなんて絶対に叩かないという意思を感じます。ライブでは最後のシンセがどっと入ってくるところが歪みギターに変わったアレンジになっててこちらも良いですね。今年はミツメの年でもありました。ハマりすぎて、この曲じゃありませんが、これまた良い曲の"セダン"を無理を通してカバーしました。ギターのMさんとベースのMさんには今後もご迷惑をおかけしそうです。先に謝っておきます。ほんっまもうすんません(板東英二風に)

 

8, Lamp - ゆめ

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今年のベストライブ対象はLampです。なぜかというと今年のライブはLampしか行ってないからです。新譜ももちろん良かったんですけど(Spotifyで聴けます)、やはりこのアルバムが現時点で最高傑作なのでは。最高傑作すぎてCD買っちゃいました。サインももらっちゃいました。何度聞いてもこんな甘いメロディーを書ければいいと思いますし、こうやって甘い歌声で歌えたらと思います。次作ではかなり削られてしまうアレンジの絶妙さも素晴らしい。3曲目の"ため息の行方"は北園みなみ(当時)氏のモダンなオケのアレンジが美しい。過剰な甘さがないのは歌詞のおかげですかね。そういえばこの曲は作曲者である永井さんではなく別の男性ボーカリストの方が歌っております。ある意味でゆらゆら帝国とかスティーリー・ダンを彷彿とさせる、バンドの解体にも近いことすらもやってのけられた(次作では逆に3人の個性が重視されてる気がします)。ランクインした"渚アラモード"はタイトなリズムがクセになります。シンセがちょっとYMOの"Simoon"みたい。そして最後の曲には"さち子"が。染谷さんの作曲は神がかっております。これまでの曲の音作りを考えるとややチープとも言えるようなストリングスシンセを用いていながら、それが最適解であったことがまた面白い。初めて聞いた心地に何度でも戻りたいと思えるようなアルバム。彼らには、キリンジが成せなかった、終わることのない自分たちの音楽の追求を続けていってほしいです。

 

8, Drugdealer - The End of Comedy

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このアルバムについてはあんまり語ることはないですね...他の曲にはMild High Clubが参加しててヘロヘロな曲が多いんですが、スカスカな録音の曲が多くて過剰に脱力してしまうこともあり全曲はちゃんと聞いてないというのが正直なところです。全曲"Suddenly"みたいな曲を期待すると肩透かしを喰らいます。ノリノリな曲よりヘロヘロな曲が多い。ただLo-Fiのくくりによくある勢いだけの曲は一つもないのでご安心を。

...あとはピッチフォークくんが良いレビューをつけてるんでそっちをご参照ください

 

9, Mac Demarco - 2

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楽しくてユーモアのある曲を書ける人はだいたい大成してる印象があります。ソイソース音楽期の細野晴臣先生なんてそうですね。というか細野先生のバックグラウンドである60〜70年代アメリカ音楽は楽しい曲ばかりです。そういうバックグラウンドを引き継いでる稀有な男がマック・デマルコであります。ぶっといディストーションをかけることもなく、線の細い音のギターをかき鳴らして自分の好きなタバコの銘柄について歌ったりしてるわけです。"My Kind of Woman"、"Still Together"といったしっとりとした曲もお手の物。アルバム一枚さらっと聞けるのは、収録時間が短いこともありますが、彼自身に「ブルースをやらなきゃ(使命感)」とか「今日は昔のディキシーランドジャズをしよう(提案)」みたいな昔の伝統を引き継ぐ的な気負いがなく、あくまでロックンロールをやるというユルさがあるからでしょう。あとは全楽器自分で演奏していながらあんまり内省的になってないとことか。ある意味で大瀧詠一の再来かもしれません。夕暮れに合いますのでぜひ。

ついでにいうとこの時期のライブ映像は全部楽しそう。気の合う仲間たちとニコニコしながら演奏してる姿を見るとこちらも元気が出てきますねえ

 

10, Martin Courtney  - Many Moons

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Real Estateのフロントマン。うちの先輩に面影が似てる。"Vestiges"に見られるようなメジャーセブンスを多用したコード進行が曲に影を帯びさせ、深みを与えています。歌が終わった後のアウトロまでしっかり聴かせるアレンジも良いです。ギターソロは絶対にしない鋼の意志が見えます。本業バンドのようにリフが少しずつ変容していく巧妙さはありませんが、そのぶんフォーク愛とメロディーの良さが素直に伝わってきます。それにしてもこの人と同じくらい抜けの良い歌声なのはサム・プレコップくらいしか思いつきません。また初夏あたりに聴くこととなるでしょう。ジャケットのイメージ通りの音楽です。